皆様は食中毒というと真っ先にどの様なものを思い浮かべるでしょうか?ニュースとして大きく取り上げられるのはO157や黄色ブドウ球菌のような細菌性食中毒、もしくはノロウイルスのようなウイルス性食中毒でしょうか。
実は寄生虫を摂取することで起きる症状も食中毒のひとつです。その中でも特に多いのがアニサキスによる食中毒です。
本コラムでは、アニサキス食中毒の特徴やその対策について説明します。
1.アニサキス食中毒の特徴
アニサキスの生態や食中毒症状について説明します。
(1)アニサキスって何?
アニサキスとは寄生虫のひとつです。幼虫は長さ2~3cm、幅0.5~1mm程度の半透明の白色の糸のように見えます。
主に幼虫はサバやアジ、ニシンやスルメイカ、カツオ等の海水魚や回遊魚に寄生しています。アニサキスが寄生した魚介類は、食物連鎖に則って、それらを餌としているクジラやイルカ等の海洋哺乳類に食べられます。アニサキスは魚介類から最終宿主となる哺乳類の体内に寄生し成虫となります。哺乳類の体内に侵入する為にまず餌となる魚介類に寄生するわけです。幼虫の時は主に魚介類の内臓に住みついていますが、寄生先の魚介類が死ぬと徐々に筋肉の部位に移動してきます。
人間がアニサキスに寄生された魚介類を生で食べると、幼虫が胃や腸に侵入し胃壁や腸壁を刺してきます。これがアニサキス症と呼ばれる食中毒です。
(2)アニサキス食中毒の症状
(3)実は食中毒事件数1位!
2.アニサキス食中毒を予防するには?
アニサキスを予防するためにはどの様な対策が必要でしょうか?
消費者からと事業者からの目線で考えてみましょう。
(1)消費者が出来る対策
・新鮮な魚介類を選び内臓を取り除く
アニサキスの幼虫は内臓に寄生し宿主が死んだあと筋肉に移動します。移動する前に素早く内臓を処理することで、可食部分となる筋肉への移動を防ぎます。
・内臓は生で食べない
アニサキスの幼虫がいる可能性が高い内臓は決して生で食べないでください。
・目視による確認
アニサキスは菌やウイルスと違って目視で確認できます。半透明の白色で2~3cm程度の太めの糸のように見えます。生食の場合はよく確認し取り除くことが重要です。
(2)飲食店、販売業者ができる対策
・新鮮な魚を選び内臓を取り除く
氷等を使用して温度管理を行い新鮮なまま運搬し、アニサキスが内臓から身の部分に移動する前に素早く内臓を除去してください。
・魚の内臓を生で提供しない
アニサキスが寄生している可能性がある内臓は生の状態で提供しないでください。
・目視で確認しアニサキスを取り除く
魚をさばく際によく確認し目視できる部分は取り除いてください
・冷凍する
厚生労働省の指導によると、-20℃で24時間以上冷凍することで、アニサキスを一斉に死滅させることができます。
・加熱する
70℃以上、または60℃以上1分以上の加熱でアニサキスを死滅させることができます。
3.まとめ
アニサキスによる食中毒は毎年、事件数が食中毒中でも上位に挙がるほど頻度が高く発生しています。アニサキスによる食中毒ではみぞおちの激しい痛みや嘔吐、吐き気などの症状が現れます。このような食中毒を発生させないための対策として、生の魚は新鮮なうちに内臓をしっかり取り除き、目視で確認してから喫食しましょう。また、生食以外での喫食の場合適切な加熱や冷凍をしましょう。
アニサキス食中毒を防止するためにも正しい知識のもと対策をしっかり行いましょう。
こちらのコラムは第二コンサルティング本部 西日本B 坂上 聡が担当いたしました。