1. TOP
  2. 最新記事
  3. コラム
  4. 食中毒は菌やウィルスだけじゃない!実は多いアニサキスによる食中毒

食中毒は菌やウィルスだけじゃない!実は多いアニサキスによる食中毒

食中毒は菌やウィルスだけじゃない!実は多いアニサキスによる食中毒

皆様は食中毒というと真っ先にどの様なものを思い浮かべるでしょうか?ニュースとして大きく取り上げられるのはO157や黄色ブドウ球菌のような細菌性食中毒、もしくはノロウイルスのようなウイルス性食中毒でしょうか。

実は寄生虫を摂取することで起きる症状も食中毒のひとつです。その中でも特に多いのがアニサキスによる食中毒です。

本コラムでは、アニサキス食中毒の特徴やその対策について説明します。

1.アニサキス食中毒の特徴

アニサキスの生態や食中毒症状について説明します。


(1)アニサキスって何?

アニサキスとは寄生虫のひとつです。幼虫は長さ2~3cm、幅0.5~1mm程度の半透明の白色の糸のように見えます。

主に幼虫はサバやアジ、ニシンやスルメイカ、カツオ等の海水魚や回遊魚に寄生しています。アニサキスが寄生した魚介類は、食物連鎖に則って、それらを餌としているクジラやイルカ等の海洋哺乳類に食べられます。アニサキスは魚介類から最終宿主となる哺乳類の体内に寄生し成虫となります。哺乳類の体内に侵入する為にまず餌となる魚介類に寄生するわけです。幼虫の時は主に魚介類の内臓に住みついていますが、寄生先の魚介類が死ぬと徐々に筋肉の部位に移動してきます。


人間がアニサキスに寄生された魚介類を生で食べると、幼虫が胃や腸に侵入し胃壁や腸壁を刺してきます。これがアニサキス症と呼ばれる食中毒です。


(2)アニサキス食中毒の症状

アニサキスは人の体内では成虫になれませんので通常は排泄されます。しかしまれに食後数時間~数十時間後にみぞおちの激しい痛み、嘔吐、吐き気、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を引き起こします。 幼虫が胃壁を刺した場合は「急性胃アニサキス症」腸壁を刺した場合は「急性腸アニサキス症」と呼ばれます。多くは胃アニサキス症による症状です。 発症すると脂汗をかくほどの痛みに襲われるとのことで、出来れば経験したくないものです。 一定間隔で腹痛を繰り返し症状が悪化すると発熱や蕁麻疹などのアレルギー症状を伴う場合もあります。 胃アニサキス症の治療は胃カメラを挿入し鉗子で取り除く方法が一般的です。 このような症状が見られた場合直ちに最寄りの医療機関を受診しましょう。


(3)実は食中毒事件数1位!

アニサキス食中毒ですが令和5年度の事件数を見てみると400件を超えており、食中毒事件全体1,021件の内42.3%を占め全体の事件数1位となっています。発覚しているだけでもこの数値ですのでアニサキスとは気づかず治癒された方もいることを考えると身近に発生していてもおかしくない食中毒です。

 

2.アニサキス食中毒を予防するには?

 アニサキスを予防するためにはどの様な対策が必要でしょうか?
消費者からと事業者からの目線で考えてみましょう。


(1)消費者が出来る対策

・新鮮な魚介類を選び内臓を取り除く
アニサキスの幼虫は内臓に寄生し宿主が死んだあと筋肉に移動します。移動する前に素早く内臓を処理することで、可食部分となる筋肉への移動を防ぎます。

・内臓は生で食べない
アニサキスの幼虫がいる可能性が高い内臓は決して生で食べないでください。

・目視による確認
アニサキスは菌やウイルスと違って目視で確認できます。半透明の白色で2~3cm程度の太めの糸のように見えます。生食の場合はよく確認し取り除くことが重要です。

家庭で気を付ける食中毒予防~簡単にできる対策方法~

関連コラム:家庭で気を付ける食中毒予防~簡単にできる対策方法~

家庭でできる細菌性・ウイルス性食中毒予防のポイントを紹介します

(2)飲食店、販売業者ができる対策

・新鮮な魚を選び内臓を取り除く
氷等を使用して温度管理を行い新鮮なまま運搬し、アニサキスが内臓から身の部分に移動する前に素早く内臓を除去してください。

・魚の内臓を生で提供しない
アニサキスが寄生している可能性がある内臓は生の状態で提供しないでください。

・目視で確認しアニサキスを取り除く
魚をさばく際によく確認し目視できる部分は取り除いてください

・冷凍する
厚生労働省の指導によると、-20℃で24時間以上冷凍することで、アニサキスを一斉に死滅させることができます。

・加熱する
70℃以上、または60℃以上1分以上の加熱でアニサキスを死滅させることができます。

知っておきたい!厨房の衛生管理の「3つのポイント」

関連コラム:知っておきたい!厨房の衛生管理の「3つのポイント」

細菌性・ウイルス性食中毒事故予防のためのポイントを、「食材」、「調理器具」、「従業員」の3つに絞ってお伝えします。

3.まとめ

アニサキスによる食中毒は毎年、事件数が食中毒中でも上位に挙がるほど頻度が高く発生しています。アニサキスによる食中毒ではみぞおちの激しい痛みや嘔吐、吐き気などの症状が現れます。このような食中毒を発生させないための対策として、生の魚は新鮮なうちに内臓をしっかり取り除き、目視で確認してから喫食しましょう。また、生食以外での喫食の場合適切な加熱や冷凍をしましょう。

アニサキス食中毒を防止するためにも正しい知識のもと対策をしっかり行いましょう。


こちらのコラムは第二コンサルティング本部 西日本B 坂上 聡が担当いたしました。


BMLフード・サイエンス飲食店アレルギー対策

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コンサルティング、認証取得支援・適合証明、検査サービスに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

資料ダウンロード

お役立ち資料ダウンロード

食品衛生および品質管理に関するトピックを紹介するお役立ち資料を提供しています。

依頼・お問い合わせ

当社サービスに関する依頼・お問い合わせ

コンサルティング、認証取得支援・適合証明、検査サービスに関する幅広いご相談を承ります。

セミナーバナー