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コバエ類の発生を防ぐ清掃の大切さ

コバエ類の発生を防ぐ清掃の大切さ

 ご家庭の台所にコバエが飛んでいて困ったという経験をお持ちの方も多いかと思います。また、飲食店の厨房内でコバエが発生すると”異物混入”の原因となる可能性があるため、これらの対策は必要不可欠です。

 本コラムでは、コバエ類の紹介とその対策について説明します。

1.飲食店でよく見られるコバエ類の種類

 そもそも「コバエ」という種類のハエがいるわけではなく、様々な小さなハエの種類を総称して「コバエ」と呼んでいます。その種類によって見た目の特徴や発生源は様々です。

 今回はコバエ類の中でも特に発生頻度の高い3種類を紹介します。

 

 

(1)チョウバエ類

 体長は約1~5mmで、体表や翅全体に毛が生えているのが特徴です。翅は丸く、広げるとハート型を逆さにしたような形に見えます。

発生源は有機物ゴミや汚水など、汚れが溜まった箇所から発生します。

  

(2)ショウジョウバエ類

 体長は約1.5~4mmです。体色は黄褐色ですが、赤い眼を持ち、目立った頭部をしています。アルコール類の匂いに誘引される性質があることから、名前は猩々(しょうじょう)という酒を好む真っ赤な顔の架空の動物に由来しています。

植物性の食品を好み、野菜や果物の食品残渣や発酵食品、アルコールを含む飲み物の汚れなどから発生します。

  

(3)ノミバエ類

 体長は約1~5mmで、太く発達した後脚が特徴です。ピョンピョンと脚を使って跳ねる姿がノミに似ていることからこの名前が付いたといわれています。

動物性の食品を好むため、生肉を含む食品残渣や腐敗物、堆肥や動物の死骸などから発生します。

 

(4)コバエ類の成長サイクル

 コバエ類の成長サイクル(卵から成虫になる期間)は2週間程度である種が多いです。

特に、チョウバエ類の場合は、1匹の個体が約200個の卵を産むと言われています。その成長サイクルの早さと産卵数の多さから、計算上では3か月で100万匹近くの個体が発生することになります。

コバエ類が短期間で大量発生するのはこの繁殖力のためです。

 

清掃と従業員の教育

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2.コバエ類の発生源と対策

 実際にコバエ類が発生しやすいのは厨房内のどこなのか。ここでは発生源になりやすい具体的な箇所を紹介していきます。

 

(1)発生源になりやすいのはどこか

 飲食店では毎日たくさんの料理を調理し提供することに伴い、多くの汚れやゴミ(食品残渣)が発生してしまうことでしょう。このような厨房内に堆積した汚れや残渣がコバエ類の発生源になります。特にチョウバエ類は水回りの水気を含む残渣を好み、ショウジョウバエ類やノミバエ類は食材カスといった生ごみから発生します。以下のような箇所は残渣が溜まりやすく、実際に発生源になりやすいため定期的な清掃を実施しましょう。

 

~チョウバエ類の発生源になりやすい箇所~

  • シンク下の床面
  • 排水溝やグレーチング
  • グリストラップ

 

~ショウジョウバエ類やノミバエ類の発生源になりやすい箇所~

  • 調理機器下の床面
  • 調理機器の機械内部
  • 壁や床の破損部にできた隙間
  • ゴミ箱やゴミ庫

  

(2)コバエ類を発生させないための対策

 コバエ類のように厨房内で繁殖を繰り返すような虫たちの対策において最も重要なのが、日々の清掃です。厨房内を常にきれいに保つことでコバエ類が住みにくい環境をつくり、コバエ類の繁殖を防ぐことができます。

当たり前のことを言っているようで意外と「忙しくてなかなか清掃まで手が回らない」という状況になってしまっている飲食店も多いのではないでしょうか。

このように清掃が疎かな状態では、虫が発生し慌てて駆除業者に依頼してもなかなか駆除がうまく進まない場合もあります。

以下を参考にまずは自分たちでできる清掃をしっかりと行っていくことが大切です。

  • 床やシンク内、ゴミ箱には食材の残渣を残さない
  • シンク内やシンク下、床面は水分が残らないように十分に乾燥させる
  • 排水溝やグリストラップは残渣を取り除く以外にも定期的に熱湯や漂白剤を流して殺菌や油分の除去を行う
  • 壁や床のひび割れ、厨房機器同士の隙間など汚れが溜まりやすい箇所は事前にコーキングやテープなどで封鎖する

 

3.正しい清掃に向けたルール作り 

 店舗の責任者の方がただただ「毎日掃除をしよう!」と言っても従業員の方やアルバイトの方の中には正しい清掃方法について十分に理解できていない人もいるかもしれません。

そのような時は『マスタークリーニングスケジュール(清掃計画表)』や『清掃マニュアル』を作成してみてはいかがでしょうか。

これらを活用することで、正しい方法で、正しい箇所を、正しい頻度で従業員全員が清掃できるようになります。

(1)マスタークリーニングスケジュール

 床面や作業台上、シンクの中などについては毎日清掃をやっていただく必要があります。一方で、手が届きにくく汚れが溜まりやすい箇所や清掃に手間がかかる場所についてはマスタークリーニングスケジュールを基に清掃していただくのが有効です。

特に、清掃頻度については上記で説明したように、コバエ類は2週間前後で発生してしまうことから、厨房内での繁殖を防ぐためには、2週間以内(月に2回以上)に清掃を行うようにルール作りをしていくことが望ましいです。

 店舗の責任者の方は、定期的に記録を確認しながら十分に清掃が行き届いているか、頻度について改善の必要はないかなど修正していくことで清掃状況の改善に努めましょう。


(2)清掃マニュアル

 分解洗浄など清掃に細かな手順が必要な場合には、「清掃マニュアル」を作成しておきましょう。これにより手順が均一化され、洗い残しや作業事故を防ぐことができます。

特に、グリストラップなどは仕組みがやや複雑で汚れが溜まりやすく、清掃が敬遠されがちな箇所となりやすいためマニュアルに沿った清掃が行えるようにしましょう。

 

4.飲食店の衛生管理には食品衛生コンサルの導入がおすすめ

 ルールを策定し、守るには定期的なチェックが必要です。一方、飲食店のマネージャーは、新メニュー開発、キャンペーン企画、接客指導、クレーム対応など、多岐にわたる業務をこなすため、非常に多忙です。

そこで、煩雑な衛生管理業務は食品衛生専門のコンサルタントに任せるという選択肢があります。食品衛生コンサルタントを導入すれば、衛生管理関連の法令や規制に精通した専門知識を活用でき、リスクマネジメント、衛生監査・点検、従業員のトレーニングまでサポートができます。

これらを活用することで、時間や労力をかけずに高い専門性を持つ衛生管理を実現できるでしょう。 


 

5.おわりに

 飲食店にとっての天敵でありながら切っても切れない関係にあるのがコバエ類などの虫の発生です。そして、厨房内でのコバエ類の発生は「異物混入」につながる恐れがあります。

実際に毎年集計されている異物混入事例において最も高い割合となっているのが「虫異物」です。

加えて、このような虫による異物混入事故が起こってしまうと、お客様からの不信感や不快感を募らせることになりかねません。それは店舗やブランドの価値を著しく低下させ、売り上げの低下へと直結していきます。

日々の清掃の積み重ねがこのような事故を防ぐことにつながっていきます。正しい清掃を行い、清潔な厨房を保つことで安全な厨房環境をつくることができますので、ぜひ今一度厨房内の清掃状況を見直していただき、虫のいないきれいな飲食店を目指していただけたら幸いです。

 今回は虫異物を主としたお話をしましたが、BMLフード・サイエンスでは、食に関わる様々な衛生サポートサービスを幅広く提供しています。食品安全・衛生管理に関して経験豊富な当社が最適なサービスをご提案差し上げますので、衛生に関するお悩み事がありましたらお気軽にお問合せください。

 

詳しくは、「食品コンサル」のページをご覧ください。

 

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こちらのコラムは 第二コンサルティング本部 札幌グループ が担当いたしました。

 

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