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化粧品広告と薬機法  ~その広告表現、本当に大丈夫?~

化粧品広告と薬機法  ~その広告表現、本当に大丈夫?~

 近年、韓国発のファッションや雑貨、食べ物などが日本で流行しており、大きな市場となっています。スタイリッシュな韓国化粧品を見かける機会も多いのではないでしょうか。
比較的手に取りやすい価格帯、パッケージのデザイン性などに加え、日本では見かけないような魅力的な効能効果の訴求内容も、韓国化粧品が目を引く大きな要因となっているように思います。

今回は、化粧品関連やそれらの広告事業に従事する方に向けて、国内外のコスメ類を扱う際の広告表現における基本的な注意点や、薬機法(医薬品医療機器等法・旧薬事法)のポイントについてお話しします。

1.化粧品は薬機法で規制されている

 薬機法(医薬品医療機器等法・旧薬事法)は正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」と言いますが、ここでは「薬機法」と呼ぶことにします。

<薬機法の目的>

 薬機法の主な目的は、以下の製品の「品質・有効性・安全性を確保し、保健衛生上の危害の発生・拡大を防止すること」となっています。
・医薬品
・医薬部外品
・化粧品
・医療機器
・再生医療等製品

これらの製品は人体に直接作用するものであるため、認められていない成分が入っていたり、不適切な表示によって効能効果が誤認されたりした場合に健康被害が発生するリスクがあります。薬機法は、そのような事態を未然に防ぎ、消費者の安全を守るための法律であると言えます。

 

<化粧品と医薬部外品>

 医薬品を除き、一般にスキンケア製品は「化粧品」か「医薬部外品」のどちらかに分類されます。

「化粧品」は人の身体を清潔にする、美化する、魅力を増す、健やかに保つなどの目的で使用されるもので、作用が緩和なものを指します。効能効果については標榜できる表現が明確に定められています(後述)。

一方「医薬部外品」には、厚生労働省が許可した有効成分が一定濃度で配合されており、製品ごとに承認された効能効果を標榜することができます。「薬用」と表示することも認められています。

対象品が「化粧品」であるか「医薬部外品」であるかによって、訴求可能な広告表現が変わってきます。

 

  

2.化粧品の広告規制

 薬機法では、化粧品の広告をする際の規制が設けられています。ここでは、化粧品の広告表現において特に注意しなければならない点について見ていきます。

 

(1)虚偽・誇大広告の禁止(第66条)

 化粧品などの名称、製造方法、効能効果、性能について、虚偽又は誇大な記事・広告を流布することは禁止されています。事実でない、または誇張した表現を用いて宣伝をすることや、後述する効能効果の範囲を超えた表現を行なうことはできません。また、医師などの医薬関係者が効能効果を保証したと誤解させるような表現も、虚偽・誇大広告にあたります。

 

(2)承認前医薬品等の広告の禁止(第68条)

 承認を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能効果、性能に関する広告をすることはできません。承認前というと、手続き中でこれから承認される予定があるような印象を受けますが、それだけではなく、そもそも承認を受ける予定のない雑貨品なども規制対象となっています。

 これらの規制は、いずれも法律の条文に「何人(なんぴと)も」という文言が入っています。これは、広告を作成した製造業者や販売業者だけでなく、広告を記載・流布した新聞社や雑誌社、放送事業者、インターネットアフィリエイター、小売業者、さらには二次流通を含む個人の販売者に至るまで、全ての人に適用されることを意味します。広告に携わる方はあまねく自分ごととして捉える必要があります。

 

(3)虚偽・誇大広告の禁止(第66条)

 上記第66条の規定遵守のために、厚生労働省は「医薬品等適正広告基準」として具体的な広告表現の基準を示しています。ここでは、医薬品等適正広告基準のポイントを5つ解説します。

① 化粧品は効能効果の範囲(56項)が決まっている


日本国内で化粧品を販売する際は、この56項目の範囲内でしか効能効果を標榜することができません。たとえ何らかのエビデンスがあり、効果が事実であったとしても広告で表示することはできませんが、海外の化粧品のパッケージなどには逸脱表現がしばしば見られるため注意が必要です。

② 効能効果又は安全性を保証する表現の禁止

 「無添加なので安全」、「お子様にも安心」、といった安全性を保証するような表現はできません。また、体験談を用いて効能効果を説明することも保証表現とみなされるため禁止されています。

 

③ 効能効果・安全性の最大級表現の禁止

 「世界一」、「最高の」、「究極の」など過度な表現はできません。

日焼け止めのSPF値に関して、国内最大値(50+)であることは標榜可能ですが、それをもって「究極の」日焼け止め製品であるなどと謳うことはできません。



④ 他社製品の誹謗となる表現の禁止

 「他社製品よりも肌に優しい」、「○○はもう古い」など、他社製品を誹謗して自社製品の優位性を訴えるような表現は禁止されています。

 

⑤ 医薬関係者等の推薦の禁止

 医師や薬剤師などによる推奨を示唆する表現は禁止されています。理容師や美容師による推薦も同様です。「製薬会社が開発した」などは事実であれば問題ありませんが、「皮膚科医推奨」と標榜することはできません。

 

 

3.違反事例~この表現に注意! 

 例えば「回復」という表現は前述の56項にはなく、日本では医薬品でなければ使えません。ところが韓国では、機能性化粧品として使用可能な訴求表現であるため、現地の言葉をそのまま翻訳してパッケージ等に表示し、化粧品として販売すると薬機法違反となってしまいます。

その他、よく見かける違反事例には以下のようなものがあります。標榜可能な言い換え表現の例と併せてご紹介します。

 

×「肌荒れの鎮静」     → 「肌荒れを防ぎ、すこやかに保つ」

×「毛穴レス」       → 「肌をひきしめる」

×「コラーゲン産生を促進」 → 「肌にはりを与える」

×「肌質の改善」        → 「ツヤを与える」/「肌を柔らげる」など具体的に

×「バリア機能の再生」   → 「肌のバリアをサポート」/「肌を保護する」

 

左側の表現はいずれも越境EC(電子商取引において、国境を越えて取引を行うこと)などの化粧品パッケージや広告でよく見かけるものですが、日本では標榜できないか、医薬部外品として承認された製品についてのみ限定的に標榜可能な表現となっています。右側のように言い換えるなどして、効能効果の逸脱とならないよう適切に表示しましょう。

  

4.おわりに

 化粧品の広告には、今回お話しした薬機法のほかにも、優良誤認やステルスマーケティング(ステマ)に関わる景品表示法など、注意しなければならない法律があります。商品の魅力を伝えるだけでなく、様々な法律を遵守し、消費者にとって信頼性の高い情報を提供することが求められます。

 当社では化粧品や雑貨品などのパッケージやPOP、専用什器等の広告表現の事前チェックをはじめ、店頭展開中の商品表示の問題点などを洗い出す店舗点検業務を実施しており、多くのメーカー様、小売店様よりご用命いただいております。

また、品質管理ご担当者様や店頭スタッフ様向けに、各種商品に関連する法律についての講習会のご依頼も承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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こちらのコラムは 第四コンサルティング本部 商品グループ が担当いたしました。

 

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