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飲食店の衛生管理の必要性とやるべき衛生管理について解説

飲食店の衛生管理の必要性とやるべき衛生管理について解説

飲食店が注力すべき業務は、日々の店舗運営に加え、既存メニューの改良や新メニューの開発、サービス向上のためのスタッフ教育、さらには内装づくりなど、多岐にわたります。
ただ、こうした努力も、たった一度でも食中毒が発生すれば、すべて水の泡となってしまう可能性があります。
お客様に安心して飲食を楽しんでもらうためにも、まずは衛生管理が欠かせません。

そこでこの記事では、飲食店においてどのような衛生管理が必要なのかを、ポイントとともにご紹介いたします。

食品衛生の目的

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飲食店における食品衛生の目的や食品衛生対策のポイントをご紹介します。

1.飲食店の衛生管理の必要性


なぜ、飲食店において衛生管理に取り組むことが重要なのでしょうか?
当たり前のことのようでもありますが、改めて整理してみると、「食中毒の発生を防ぐ」「お客様の満足度を高める」の2つの狙いに集約されます。

(1)食中毒の発生を防ぐ


衛生管理の最も大きな目的は、食中毒の発生を防ぐことです。
食中毒にかかれば、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などの症状が現れ、重症化すると死亡や後遺症が残る疾患に至るケースもあります。飲食店で食中毒を発生させた場合、このような健康被害だけではなく、店舗の営業停止や、売上の低下、賠償責任問題に発展することもあります。
せっかく来店してくれたお客様に安心して食事を楽しんでもらい、飲食店事業を続けていくためには、なんとしても食中毒の発生を防がなくてはなりません。

(2)お客様の満足度を高める


たとえ食中毒が発生していなかったとしても、衛生管理が徹底されていない飲食店では清潔さが感じられず、居心地が良くないものです。

たとえば、店舗の床や壁、天井や、テーブルやイスといった家具、掲示物やメニュー表などが汚れている場合や、食器やカトラリー類にゴミや埃が付着していた場合、運ばれて来た料理の色や匂いが悪かった場合や、フロアスタッフや調理スタッフの身だしなみが整っておらずユニフォームが汚れていた場合、店舗内でゴキブリやハエ、ネズミ等の害虫や害獣を発見した場合は、たとえ料理がおいしかったとしてもお店に対する印象は下がります。口コミサイトなどで悪い評価を投稿される可能性もあるでしょう。

お客様に不快感を与えることのない快適な環境で、おいしい料理を楽しんでもらうことで、顧客満足度の向上が期待できます。

 

2.飲食店で食中毒が発生する要因


飲食店で衛生管理が行き届かなかった場合、具体的にはどのような経緯で食中毒が発生するのでしょうか?
主な要因は、次の5点です。

(1)食材の鮮度が悪い


なかには、鮮度が良くても食中毒に繋がってしまう食中毒菌やウイルスはありますが、基本的には、食材の鮮度が落ちると食中毒の原因となる細菌が増殖し、食中毒が発生しやすくなります。たとえばサバ、マグロ、イワシ等の赤身の魚では、保管状況が悪いとヒスタミン生成菌が増殖し、アミノ酸であるヒスチジンからヒスタミンが生成されます。このヒスタミンは熱に強く、一旦作られてしまうと加熱料理しても分解されません。このため、食材を受け取った段階で鮮度が悪かった場合にはいかに調理を工夫しても食中毒に繋がってしまします。

このように仕入食材が原因で食中毒に繋がることを予防するため、食材の納品時には立ち合い、検品を行うことをお勧めします。食材の外観や匂い、納品時の温度、期限などを確認し、問題がないことが確認できたら、速やかに温度管理がされている保管場所へ移動させて鮮度を保ちましょう。

(2)食材が適切に保管されていない


調理前の食材や、仕込み品は、お客様へ提供するまでの間は、冷蔵庫などで保管することになるでしょう。
この保管の間、保管方法や温度管理が適切でないと、食中毒菌の増殖や、保管している食材同士の接触による食中毒菌やウイルスの付着を招くことに繋がり食中毒が発生する恐れがあります。

保管方法の基本的な考え方は保管するものの特徴によって保管方法や場所を分ける事です。例えば、仕込みを終えて提供できる状態のものが、仕込みを行っていない肉や魚、野菜などから影響を受けることが無いよう、それぞれの保管場所を分けることなどです。

保管温度の管理では、それぞれの食材や仕込み品に合わせた温度管理を行う必要があります。大量調理施設衛生管理マニュアルでは、「調理後直ちに提供される食品以外の食品は、食中毒菌の増殖を抑制するために、10℃以下又は65℃以上で管理することが必要である」とされており、この基準を目安に冷蔵庫や温蔵庫を活用して適温管理を行いましょう。

また、常温で保存できる食材であっても、開封後は冷蔵保管が必要なものがあります。また見た目には常温保存可能なレトルト商品と混同しがちなパウチ食材がありますので、食材のラベル表記を参考に、適した保管方法で保管できるようにしてください。

(3)適切に調理されていない


調理の仕方が適切でないと、調理中に食材を汚染してしまったり、食中毒菌を増殖させてしまったり、食中毒菌やウイルスを十分に殺菌・不活性化できないまま提供してしまったりすることになります。
食材中に食中毒菌やウイルスが存在していたとしても、多くの場合、十分な加熱を行うことで殺菌・不活性化が可能です。目安としては、中心部の温度が75度以上で1分間以上の加熱(ノロウイルスの場合は85~90℃で90秒間以上の加熱)を行うことが望ましいです。

食中毒の原因には、寄生虫によるものもあります。魚介類や生肉などに潜んでいた寄生虫に気づかずに口にしてしまうことで、激しい腹痛や悪寒、嘔吐などの症状を引き起こします。寄生虫の対策としては十分な加熱か冷凍が有効です。多くの寄生虫は-20℃以下で48時間以上冷凍することで死滅するといわれています。

また、飲食店では同時にいくつかの料理を進行させることもあり、突発的なお客さま対応で料理を途中で止めることもあります。しかし調理中の食材や料理を室温に放置すると、食中毒菌が新たに付着したり、増殖する可能性があります。長時間放置する可能性がある場合は冷蔵庫等へ一時的に戻すようにしてください。

食材によっては、鮮度に関わらず、生食での提供には適さないものがあります。たとえば、豚肉や豚の内臓、牛レバーは食品衛生法でも生食としての販売が認められていませんし、鶏肉もその多くにカンピロバクターが付着していると考えられ、付着していない鶏肉を選別することが現時点では難しいため生食にはリスクが伴います。

(4)調理器具や厨房が不衛生


いくら食材が安全なものであっても、調理器具や厨房設備が不衛生であれば、害虫や害獣の誘引・繁殖を引き起こし、調理する過程で食材の汚染にも繋がり、食中毒を引き起こす可能性があります。

厨房は整理整頓を心がけ、毎日の清掃を徹底しましょう。調理器具は洗浄後、熱湯やアルコールや塩素系漂白剤などを利用して消毒します。自動洗浄機を用いることで、洗浄から殺菌までを一貫して実施することができるため、多くの飲食店で導入されています。

(5)従業員の衛生管理ができていない


調理スタッフや接客スタッフの衛生管理が徹底されていないために食中毒が発生することもあります。
たとえば、調理スタッフが食中毒や感染症を患っている状態で調理したことで、料理からお客様へ二次感染してしまうケースがあります。

接客スタッフも同様です。接客スタッフは料理を運ぶ以外にも、注文を取ったり会計業務を行ったり電話に出たりと、仕事が多岐にわたります。このため、料理や飲み物のほかに、さまざまなものに触れることから、細菌やウイルスに触れる機会が多いといえます。 料理などを運ぶ時だけでなく、現金を触った後など、小まめに手を洗い消毒する必要があるでしょう。

3.飲食店で行うべき衛生管理


上記と重複する部分もありますが、飲食店で行うべき衛生管理を分類すると、人とモノに分けられます。
以下で、それぞれ解説します。

(1)従業員ができる衛生管理


従業員が食中毒にかかっていたり、手指などに細菌やウイルスが付着していたりすると、お客様へ二次感染させてしまう恐れがあります。このため、まずは、従業員自身でできる衛生管理に取り組みましょう。

特に調理スタッフには、日々の健康チェックを徹底させ、体調が優れない場合には出勤させないようにします。また、手指に切り傷がある場合は、素手で調理させず、使い捨てのビニール手袋などを着用させましょう。

さらに、白衣や調理帽の着用といった身だしなみや、調理前、現金に触れた後、お手洗いの後などの手洗いルールを浸透させることも重要です。こうしたルールは、従業員がいつでも確認できるよう、マニュアルを作成の上、定期的に研修などの教育を実施して浸透させましょう。

加えて、厨房とホールをきちんと仕切り、接客スタッフが容易に厨房に入ることがないようにすることも、余計な細菌やウイルスを持ち込ませないためには大切です。


ノロウイルスについては、こちらの記事もご覧ください。

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ノロウイルスによる食中毒の感染経路や消毒方法についてご紹介します。

(2)店内の衛生管理


従業員の衛生管理とともに、飲食店の環境も整える必要があります。厨房では、以下のような取り組みを実施しましょう。

  • 食材の検品は、厨房ではなく搬入口に近いエリアで行い、検品後後速やかに段ボール箱などは処分し、食材のみを厨房へ持ち込む。
  • 食材は、適温で最適な保管場所と方法で保存を行い、先入れ先出しを徹底して新鮮なものを使用する。
  • 下ごしらえ済みの半調理品や調理済みの食品は、密閉して冷蔵庫などで保管する。
  • 調理器具や食器はきれいに洗い、適宜、消毒をして清潔に保つ。
  • 食材の受け入れや保存方法、調理器具と設備の清掃・消毒、廃棄物の処理などの各段階に関するチェックシートを用意し、定期的に確認する。

お客様が飲食するスペースでは、以下のような取り組みを実施しましょう。

  • フロアやゴミ箱、壁、テーブル、椅子、調味料入れ、メニュー表などの定期的な清掃と消毒を行う。
  • 来店したお客様が利用できる手指の消毒液を設置する。

 

4.飲食店の衛生管理には食品コンサルの導入がおすすめ


新メニュー開発やキャンペーン企画、接客指導、クレーム対応など、業務が多岐にわたる飲食店のマネージャーは多忙を極めます。もちろん、衛生管理に取り組むことは重要ですが、自分にしかできない仕事に時間と労力を割くべきでしょう。

そこで、煩雑な衛生管理業務は食品専門のコンサルタントに任せてしまうというのも一つの選択肢です。食品コンサルを導入すれば、衛生管理関連の法令や規制を含む専門知識を利用でき、リスクマネジメントから衛生監査・点検、従業員のトレーニングまでサポートしてもらえます。

食品コンサルを活用すれば、時間や労力をかけることなく専門性の高い衛生管理を実現できるでしょう。



5.まとめ


お客様に食事や飲み物、雰囲気などを楽しんでもらう飲食店では、安心してサービスを受けてもらうためにも、衛生管理に取り組み、安全なものだけを口にしてもらいたいものです。 従業員の身だしなみや手洗い、調理時のルールの浸透、設備の清掃と消毒などを徹底し、食中毒を起こさないように努めましょう。

ただ、多忙な飲食店のマネージャーが、衛生管理にかかり切り…というわけにもいきません。食品専門のコンサルティングサービスを利用することで、手間なく高いレベルでの衛生管理を実現できます。

BMLフード・サイエンスでは、食品業界向けの総合コンサルティングを行っております。 食品の微生物・理化学検査、腸内細菌検査から飲食店の厨房衛生点検、食品工場監査、衛生管理・品質管理の仕組み作り、検査・システム構築支援までを総合的に提供しております。
食品衛生に関するお悩みをお持ちの飲食店様は、ぜひご相談ください。

詳しくは、「食品コンサル」のページをご覧ください。

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